グローバル社会が進んできて、子供をバイリンガルに育てたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
しかし、バイリンガルに育てるためには適切な環境作りが欠かせません。
本記事では、子供をバイリンガルに育てるために親ができる3つの環境作りについて解説します。
バイリンガルに育てるのに必要な能力やセミリンガルとの違いもご紹介。
子供の言語習得に関心のある親御さんは、ぜひ参考にしてください。
- バイリンガルとは?セミリンガルとの違い
- セミリンガル(中途半端)になるのを避けるためには
- バイリンガルにするには脳の使い方=英語脳が重要
- バイリンガルに育てるために親ができること
バイリンガルとは?
4つの領域が流暢であることが条件
バイリンガルと聞くと、日本語と外国語の2つの言葉が話せるというイメージがあります。
バイリンガルとは、具体的にどのような人のことを指すのでしょうか。
「読む」、「書く」、「話す」、「聞く」の4つの領域が同じくらい流暢であることが「バイリンガル」の条件である。
私はバイリンガル?日本人EFL学習者の自己省察に関する報告
バイリンガルには2つのタイプがある
バイリンガルとは、2つ以上の言語を流暢に話すことができる能力ですが、大きく分けると2つのタイプがあります。
【バイリンガルのタイプ】
- 同時バイリンガル・・・生まれながらにして2つ以上の言語を習得している場合。
- 継続バイリンガル・・・第一言語を習得した後に第二言語を習得する場合。
タイプは、2つ目の言語をいつから身につけたかによって区別されます。
一般的に、両親ともに日本人の場合は「継続バイリンガル」になります。
バイリンガルに必要な言語能力
バイリンガルに必要な能力は、「日常的な会話能力」と「年齢相応の国語力」の2つがあります。
年齢相応の国語力とは、相手が話す言葉や書く文字を理解したり、言葉を用いて自分の意思を伝えたりする能力です。
簡単に説明すると、教科書を読んで、主人公の気持ちを理解できて文章を書けるといったことです。
日常的な会話能力は、普段から話していれば自然と身につきますが、年齢相応の国語力を習得するには、本を読んだり義務教育などで勉強する必要があります。
この国語力が足りないと、「相手の話している内容が理解できない」「言いたいことを上手く伝えられない」といった状態になりやすいため、他人とコミュニケーションを取るのに苦労してしまいます。
セミリンガルとバイリンガルの違い
子供に英語教育をするにあたって気をつけたいことは、セミリンガルになってしまうことです。
セミリンガルとは、2つの外国語を話す能力があるけれど「両方とも完全にはマスターしていない」状態です。
セミリンガルになりやすい具体例を挙げてみます。
- 日本で生まれて生活する
- 5歳で日本からアメリカに移住する
- 英語の生活をする
この状態をセミリンガルと言います。
バイリンガルを目指すことは良いのですが、このセミリンガル状態にならないようにも日本語の学習も必要であるといえます。
バイリンガルは英語は英語で処理する
子供の頃から身につけた複数の言葉は、それぞれ独立して構築されます。
バイリンガルは、日本語と英語を処理する脳が別になっています。
英語を処理するところと日本語を処理するところが違う場所にあるのです。
2つの言葉を処理する脳が違うため、無意識に切り替えることができます。
例えば、日本語で聞かれた質問は、日本語で考えて日本語で答えます。 もし英語で質問されたときは、英語で考えて英語で答えます。
英語脳とも呼ばれていますね。
英語脳は英語を直接理解する
英語脳は、日本語を使わずに理解して直接英語で処理します。
Where do you want to go tomorrow?
I want to play with my friends in the park.
自然に切り替えができるので、バイリンガルのほうが混乱しにくいのです。
通訳脳で英語を覚えると苦労する
小学生や中学生など日本語も確立されてきてから、英語を学ぶと脳の中で「翻訳」というステップが入ってしまいます。
英語で聞かれた質問も、一度日本語に通訳をして日本語で考えて、それを再び英語に通訳してから答えます。
通訳脳の場合は、このような思考になります。
Where do you want to go tomorrow?
Whereはどこで、
do you want to goが行きたいで・・
tomorrowは明日だから・・・
明日はどこに行きたい?ってことね。
友達と公園で遊びたいな
友達はfriendsで公園がpark・・・
遊びたいはplayだから・・・・
I want to play with my friends in the park.
質問 → 翻訳 → 思考 → 翻訳 → 回答 と作業が増えて頭の中も複雑になってしまいます。
通訳脳で処理するようになると、英語を覚えるのに苦労してしまうというわけです。
日本語の成長への影響
幼児期は言語の習得能力が高いので、英語教育は早めに始めたほうが良いと聞いたことがある人も多いかと思います。
反対に、早くから英語教育をすると日本語の発達に影響が出てしまうので、日本語が確立してから始めたほうが良いという意見もあります。
結論から言うと、日本で暮らして日常生活の中で日本語を使っていれば、困ることはほぼありません。
日本で暮らすためには、英語ができなくても不自由はありませんが、日本語ができなければ生きていくのはきついです。
幼児期に英語と日本語を分けて教えることで解決できるので、早くから始めたほうが良いのです。
バイリンガルに育てるために親ができること
日本にいながら子供をバイリンガルに育てるためには、「英語だけの環境を整える」ことがポイントです。
極端に言えば、理想はこのような状態です。
- 父親は英語で話す。母親は日本語で話す。
- 自宅では日本語で話す。外では英語で話す。
しかし、なかなか現実的にここまでの環境にするのは厳しいという人が大多数だと思います。
そこで、一般的な過程でも無理なくできることの例を3つ挙げます。
人で分ける
先生や友達など決まった人と話すときには英語を使うといったことです。
ネイティブの知り合いがいる人にとっては一番簡単な方法です。
時間で分ける
1日の20時~21時の間だけ、土曜日の午前中だけといった時間を決めます。
その時間の会話は、日本語を禁止して英語だけを使います。
もちろん子供と話す人も英語で会話をする必要があります。
場所で分ける
自宅で日本語で話す。〇〇にいったら英語で話す。といった分け方です。
外出したら全て英語で話すというのも厳しいと思うので、スーパーや公園など決まった場所に行ったときには英語で話すというのができると良いですね。
もし親が英語ができないから厳しいと言う人は、オンライン英会話や英会話スクールに通わせて、その時間だけでも英語オンリーの時間を作ってみましょう。